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目指すは、東京パラリンピック・金メダル。人々の”光”となり、希望を与えたい。

山﨑晃裕さん プロフィール

1995年埼玉県生まれ。山村国際高校 2014年卒業。小学3年生から野球を始める。鶴ヶ島西中では二塁手・投手として、山村国際高校では投手・外野手として活躍。東京国際大学在学中の2014年11月、兵庫県で開催された世界身体障がい者野球大会に日本代表として出場し、準優勝の立役者に。2015年にやり投げに転向。日本パラ陸上選手権では4連覇中。17年の世界パラ陸上選手権で5位入賞。18年には日本新記録の60.65mをマーク。18年より順天堂大学職員を務める。

――山﨑晃裕さんは先天性右手欠損のハンデを抱えながら、山村国際高校の野球部で活躍。卒業後は東京国際大学に進み、障がい者野球の日本代表として2014年の世界大会で準優勝された後、やり投げに転向し、パラリンピック金メダルに向けてトレーニングを積まれています。その理由について聞かせてください。

山﨑 障がい者野球の世界大会で準優勝し、私自身も優秀選手に選ばれた後、自分が何をやりたいのか、あらためて考えました。そのなかで、私はエンタテインメントに並々ならぬ興味があって、人を感動させること、喜ばせることが何よりも好きだということに気づいたのです。こうした観点から、私にできることを見つめ直したときに、それは、私と同じように障がいのある子どもたちに夢を与えられるような存在になることだと。そして、私の生き方や競技への向き合い方を見ていただくことで多くの人々の“光”となり、希望を与えることだと確信しました。2015年11月、「2020年の東京パラリンピックで金メダルを獲る!」という目標を掲げ、やり投げに転向しました。

現在は、順天堂大学さくらキャンパス学生課に職員として籍を置きながら、ほぼ競技に専念するという、非常に恵まれた環境でトレーニングを積んでいます。順天堂大学ではアスリート採用は前例がないのですが、“アスリート職員”のあり方を確立すべく、自ら道を切り拓いていきたいと思っています。

――山村国際高校に入学された理由について聞かせてください。

山﨑 野球がやりたかったからです。当時の野球部は創立3年目。歴史がまだ浅いこともあって型にはめられる心配もありませんし、自分の頭で考えながら、自由に野球ができると思いました。自分たちの力でチームを創り上げていけると考えたわけですね。振り返ってみれば、野球部で出会った先生方には本当に恵まれました。入学直後、野球部の最初の練習でシートノックを受けた後、先生に呼び出されたんです。先生はこうおっしゃいました。「お前を一人の選手としてみるからな。高校野球は勝負の世界だから、特別扱いは一切しないぞ」――。健常者と一緒に野球がやりたかった私にとっては、願ってもない言葉でした。こうした環境で野球ができたのは、大きな財産だと思っています。

――高校野球で印象に残っている思い出について聞かせてください。

山﨑 最後の夏の県大会、3回戦の深谷商業戦ですね。忘れもしない2013年7月16日、場所は上尾市民球場でした。1点ビハインドで迎えた7回裏、ツーアウト満塁という状況で、私は監督に呼ばれ、代打で打席に立つことになりました。凡退すればそのまま夏が終わってしまうかもしれないという場面で、逆転2点ツーベースを打つことができたのです。大きな成功体験として、いまも鮮明に残っていますし、一つのことを一生懸命頑張って入れば、必ずや報われるんだという確信を得るきっかけになりました。ちなみに、当時の野球部のキャプテンを務めていた飯塚君とは、いまも連絡を取り合っています。

――野球の経験で、現在のやり投げ競技に生きていることはありますか。

山﨑 同じスポーツといえども、じつは陸上と野球の世界は正反対なんです。野球はいまでも忍耐や根性が求められるのに対して、陸上はスポーツのなかでも科学が非常に進んでおり、トレーニング方法に関しても、最先端の科学的成果が取り入れられています。ただ、野球で学んだ“あきらめない心”、そして“失敗や挫折の克服の仕方”については、いまも生きていると思います。

――今後の目標について聞かせてください。

山﨑 もちろん、東京パラリンピックで金メダルを獲ることです。2015年の転向以来、この目標からブレたことは一度もありませんし、アジア勢をはじめとする外国人選手に勝つために、2017年以来、3年計画で技術面と体力面を鍛えてきました。全てが計画通りに進んでいますし、自信もあります。メダルをかけて勝負する私の姿をできるだけ多くの方々に見てもらい、みなさんを元気にしたいと思っています。それから、山村国際高校の同窓生は社会人2年目です。日々、仕事をするなかで、理想と現実とのギャップに葛藤を抱えていたり、大きな課題に直面している同窓生も少なくないはずです。自分が“光”となって、そうした仲間たちを勇気づけたい。これがいちばんの目標ですね。

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